すぐに剥がれる塗膜 vs 剥がれない塗膜の違いは?
TOSOU
塗膜がすぐに剥がれず長持ちしてくれることは、お客様にとって当たり前のご要望です。が、剥離トラブルはいろんなところで起きているようです。養生シートと一緒に塗装も剥がれたり、施工後たったの2~3ヶ月でペロペロと剥がれ始めたり…。こうした剥離トラブルの原因は「前処理」の不備か、塗料の硬化不足にあることが多いのが実情です。ここでは、実際の【前処理と焼付けのについてリアルな事情】をお伝えします。
塗装が剥離…なぜでしょう
塗装はものづくりの最終工程になり、その品質は製品の付加価値に多大な影響を与えます。特に屋外製品や防食を必要とする製品においては、塗膜が長期間にわたり剥がれずに付着し続けることはお客様にとって当たり前のご要望になります。しかしながら剥離事故は起こっているようです。
初めてお会いするお客様にお話を伺いますと、よそで塗装してもらったら…
・「養生シートを剥がしたら塗料も一緒に剥がれた」
・「塗装した製品を設置しようとボルト締めしたら、周囲の塗膜が剥がれた」
・「屋外で製品を使い始めたら2~3か月で塗装がはがれはじめた」
などなど期待を裏切られる短期間での剥離が実際に起こっていると聞かされます。
第2のダメージとして、塗装を発注した製品のメーカーさんがその先のお客様の信頼を失ってしまうことが挙げられます。塗膜の剥離というのは責任の所在がはっきりしないケースもありますし、そもそも塗装の発注側が塗装のことを理解できていないと、原因をうやむやにされてしまうこともあります。メーカーさんは原因と対策を先のお客様に提示する必要がありますが、「原因はよくわからないが、今後は検査を強化します」という苦しい弁明を余儀なくされます。そして似たような事象が再び発生し、さらに信頼を失ってしまう。なぜ原因がわからないのでしょうか。
やっかいなことに、塗膜が剥がれた後の母材表面はすでに腐食が進行してしまっており、前処理や母材がどのような状態だったかを剥離後に確認することは非常に困難になります。しかしながら長年の経験で得た蓄積によれば、塗膜剥離のほとんどの原因は(1)~(3)にあり、その責は塗装会社にあことが大半です。(3)は塗装完了後の出荷前の検査によって、ある程度は流出を防ぐことができます。(4)については筆者は25年以上塗装業界に身を置いておりますが、遭遇したことは一度もありません。(5)については「母材のせい」とするには少々乱暴なような気がします。母材の不備を仕事が始まる前に予見し警告を発する、あるいは支給された母材に不備があることに気づいて発注者に連絡するのは塗装業者のプロとしての責務であると思うのです。
前処理とは
結論から申しますと、塗膜が剥がれないために最も気を使うべきことは「前処理」となります。塗料がしっかり付着し続けるために「前処理」が適切に選定され、管理されていることが重要です。前処理とは塗料がしっかりと付着し続けるために、素地(母材)の表面に施される化学的または物理的処理のことです。目的は塗料の付着力維持と素地の防錆です。一口に前処理と申しましても、その方法には少なくとも10種類くらいはあります。その中でも、お勧めできないリスキーな方法の例としては、表面をシンナーで拭く、ウエスで乾拭きする、サンドペーパーを使って手で研磨するなどが挙げられます。いずれも手作業であり作業者によってばらつきが発生しますし、そもそもこれらの方法では塗料の長期付着性は確保できないことが多いため、塗装会社・筒井工業株式会社はこれらは前処理とは呼びません。
しかしながら、お客様からお預かりする設計図書を拝見しますと、ほとんどの塗装指示は、使用する塗料については書かれてはおりますが、前処理については記述されていません。逆に前処理の重要性を認知されている設計者はここをきっちりと記述します。なぜなら過去に前処理の不備で痛い目にあっているからです。そして恥ずかしながら私たちも、過去にそうした「痛い経験」をしております。だからこそ第1優先事項は「前処理」なのです。
前処理は隠されたところにあります。だから見えません
塗装された製品をどれだけよく見ても、塗膜の下にある「前処理」の状態は確認できません。「前処理」は塗膜で隠すことができてしまうのです。ですから、塗装の発注者が「前処理」の適切な管理を確認しようと思ったら、塗装工場行き自分の製品が処理されてくるのをずっと見ていなければならないのです。これは現実的ではありません。
前処理の適切性を評価する方法の一つに、塗膜の付着性試験(通称 碁盤目密着試験)があります。
が、それは初期の付着性を確認しているだけで、経時変化がどのように進むのかを評価できていません。しかも塗膜を傷つける破壊試験になりますので、試験できる場所には限りがあります。さらに抜き取り検査で実施しますので、製品全体が均一に適合しているかを保証しているわけではありません。
ですから、ざっくばらんな言葉で表現すると「前処理の出来栄えや品質は塗装業者の良心」にかかっていると言えるわけです。
では発注者はどうすればよいのか、つづきは「塗装について~剥離の防止~」でご確認ください。
概要
代表者 | 代表取締役社長 前島 靖浩 |
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創業 | 昭和38年11月 |
資本金 | 3,000万円 |
従業員 | 正社員 45名 臨時社員 5名 |
工場敷地 | 10,000㎡ |
工場建屋 | 7,000㎡ |
事業内容 | 金属製品の粉体塗装、一般塗装及び溶射加工 |
主要設備 | 浸漬式 酸洗およびリン酸亜鉛皮膜処理ライン(スチール用、6m可) 1式 浸漬式 リン酸亜鉛皮膜処理ライン(溶融亜鉛メッキ用、14m可) 1式 ロム酸クロメート処理ライン(アルミニウム、SUS用 8m可) 1式 ※クロムフリーまたは六価クロムフリー処理も可能 スチールグリッドブラスト処理ライン(スチール用 12m可) 1式 サンドブラスト処理装置(スチール、メッキ、アルミ、SUSなど 12m可) 1式 自動粉体塗装ライン 9式 エポキシ樹脂塗装鉄筋専用ライン 1式 溶剤塗装ライン 2式 ガス溶射設備 1式 アーク溶射設備 1式 |
取引銀行 | 三井住友銀行 刈谷支店 三菱東京UFJ銀行 半田支店 愛知銀行 碧南支店 十六銀行 碧南支店 |
アクセス | お車でお越しの場合 知多半島道路の阿久比(あぐい)ICより15分 電車でお越しの場合 JR亀崎駅よりタクシーで5分または徒歩15分 |
加盟団体 | 日本パウダーコーティング協同組合 愛知県工業塗装協同組合 日本溶射協会 土木学会 日本建築仕上学会 アルミニウム合金材料工場塗装工業会(ABA) |