りん酸処理とは
PHOSPHORIC ACID
「りん酸処理」とは部材をりん酸亜鉛の薬品に浸漬することで、綺麗な模様を形成する技術です。しかしながら、模様にバラつきがあり値段も高いためりん酸処理の模様を粉体塗装で再現した独自の「パウダースパングル」を推奨します。
りん酸塩処理(防眩処理/低光沢処理)
溶融亜鉛メッキされた部材を、薬品浸漬によるりん酸亜鉛皮膜処理することで独特の重厚な意匠を得ることが出来ます。
弊社独自手法の色調コントロールにより、N4・N5・N6の3色をとり揃えております。
注意事項
・処理槽の大きさに制限があります。処理槽に入らない製品は対応できません。
・亜鉛メッキはりん酸処理に適したものが必要になります。亜鉛メッキを施す場合は、筒井工業株式会社指定(取り決めを交わした)メッキ加工会社様にメッキ加工をご依頼いただきますようお願い致します。
・亜鉛メッキに「ヤケ」が発生している場合、亜鉛の結晶模様(スパングル)は得られません。(詳細は亜鉛メッキ加工会社様による資料をご参照ください)また、りん酸処理後の色調についても、「ヤケ」部と非「ヤケ」部とは若干異なることがあります。
「ヤケ」を防ぐため、シリコン(Si)含有率が0.02%以下または0.16~0.23%の鋼材をご使用いただくことが大切ですが、鋼材調達において、シリコンコントロールされた鋼材を完全使用することは難しく、「ヤケ」を完全に防ぐことは困難と思われます。「ヤケ」自体は亜鉛メッキとしての防錆性能はなんら問題なく、仕上がり感が若干他の部分と異なる程度であり梁・支柱等で構成される構造物の場合、全体の仕上がり感には多大な影響は無いものと考えます。(色調見本を参照下さい)
取扱
・製品の吊り具はナイロンスリング等を使用してください。ワイヤロープを使用する場合は、緩衝材(ゴム板等)を用い傷を防止してください。りん酸処理膜は薄膜であるため、金属接触による擦り傷付いた場合、光沢のある亜鉛膜が露出します。光沢面が露出しても、経時変化(数か月)により徐々にグレーの色調に変色し、違和感が無くなります。補修する場合は、専用の補修塗料を刷毛塗りしてください。但し刷毛塗り部は非補修部と比べ仕上がり感は異なります。補修塗料は薄く塗り重ねるようにタッチアップし、周囲の色調に調和させてください。
・保管中には雨水に極力濡らさないよう養生してください。またブルーシートや梱包資材等で密閉しますと水蒸気で蒸れて白錆が発生する恐れがあります。通気性の確保に努めてください。
【NEW りん酸処理風粉体塗装~りん酸処理の不具合を防止するために~】
りん酸処理は本来塗装の前処理として施されていたものを、建築 意匠として取り入れられた経緯があります。
りん酸処理は化学的な処理であるために、母材の亜鉛めっきの状態や使用する鋼材の材質、肉厚によって大きく風合いや色調がばらつくことが避けられません。本来はそうしたばらつきを面白みとして取り入れるというスタンスが必要ですが、提出された色見本の風合いが均一に施されると誤解されたまま施工され、トラブルになる事例が後を絶ちません。また、りん酸処理自体は極薄の結晶性皮膜であり、施工されて数か月の間に風雨によって白錆(亜鉛めっきの錆)が発生し外観を損ねることがあります。さらに溶融亜鉛めっきを施す必要性から、母材はt3.2mm以上のスチール材である必要があり、製品重量が増えてしまうことが懸念されます。あまり知られておりませんが、板厚6mm以上のスチール材では亜鉛めっきの表層に(鉄と亜鉛の)合金層が発現し、屋外での施工後5~10年程度で赤く変色(鉄の赤錆)してしまうことがあります。
以上のことから鋭意検討を進め、「粉体塗装でりん酸処理の風合い」を再現することに成功しました。この方法を使えば、比較的均一に、白錆・赤錆のリスクなく、母材を選ばず(アルミでも可)にりん酸処理の風合いを得ることができます。ご興味のある方は「特殊塗装」のページへお進みください。