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厚板へのりん酸処理の留意点

厚板へのりん酸処理の留意点

2020/08/17

  • 合金層の赤変色

厚板へのりん酸処理仕上げにはいくつかの注意点がありますが、意外と知られていない事実があります。

それは、厚板へのりん酸処理品は屋外5~10年の暴露で、写真の赤錆のような赤茶色の変色をきたす可能性があるということです。以下にその原因を記します。

そもそもりん酸処理仕上げは以下の工程で製造されます

①鋼材を加工する

②溶融亜鉛めっき(どぶめっき)をする

③薬品によりりん酸処理をする

この中で、厚板特有の現象が起きるのは②の工程です。板厚が6mmを超える鋼材に対して、どぶめっきを施すと、亜鉛めっきの合金層膜が過剰に成長してしまう可能性があります。めっき膜厚は通常の倍以上付着し、表面の光沢は失われ、見た目には『ヤケ』と表現される状態になります。これは鋼材中のシリコン成分の量が厚板では比較的多いことに起因するそうで、めっき会社ではコントロールのできないこととなります。一般的などぶめっきでは素地に近い膜は鉄と亜鉛の合金になっており、表層は純亜鉛に近い組成になっています。ところが厚板の場合は合金層が異常成長し、表面にも合金層が露出するようなかたちになります。つまり表層に純亜鉛層がないということになります。その結果、屋外での風雨によって表層にいる合金層が酸化していくことになりますが、合金とはその名の通り亜鉛と鉄の混ざり合ったものになります。亜鉛は酸化しても白い錆(酸化亜鉛)が発生するだけで単に汚れのようにも見えるのですが、鉄が酸化すると黄色や赤茶色の錆が発生します。赤茶色の変色は、人間の目には『異常』『錆だ!』と認識されてしまうようです。鉄分の多い層が表層に来ているわけですから、想定より早い段階で赤錆色に変色してしまうことになります。

この現象はりん酸処理がめっきの上に施されていたとしても発生します。りん酸処理皮膜とは膜厚が1μmにも満たない結晶性の皮膜であり、水分や腐食成分の通過を完全に食い止めることは困難であるからです。そもそもりん酸処理とは塗装の前処理(素地調整)で施されている処理であり、りん酸処理の上に塗装をすることが前提となっています。それをりん酸処理だけで屋外耐久性を持たせることは容易ではありあせん。

そして、仮に合金層の露出による赤茶変色が発生した場合、めっき加工会社にクレームをつけても、らちがあきません。厚板における合金層の異常成長の原因は母材の成分にあるからです。また、赤茶変色が発生しても、めっきとしての膜厚は十分に残しており、めっきの本来のミッションである『鋼材の腐食による肉厚欠損を防止する』という防錆機能は十分果たしているという説明が帰ってくることになります。

では鋼材手配の際に低シリコン材を手配すればいいのか?となりますが、特注による鋼材手配ではロットが非常に大きなものになり、現実的でないようです。

このように、厚板のりん酸処理は博打のような仕上採用になりかねないリスクを内包しております。

建築外装にりん酸処理仕上げを採用し、長く美しい状態を保つにはいくつもの考慮事項があります。厚板への留意はその中の一つに過ぎません。りん酸処理がスムーズに成功するには設計・施工・製造に至るすべての関係者様がこうした特徴を理解したうえでリン酸処理仕上げが取り扱われる必要がありますが、どこかでコミュニケーションにずれがあると高い確率で不具合が発生してしまいます。

弊社ではリン酸処理仕上げ(本物)も処理は可能です。しかしながらこうした不具合を完全に食い止めるのは非常に困難な状況であることも事実です。その状況を克服し、スムーズに仕事を遂行するため粉体塗装によるリン酸処理風塗装『パウダースパングル』を開発し、実績を挙げております。りん酸処理仕上げがもつ様々なリスクを解消できる仕上げとなっております。是非一度ご検討をいただけましたら幸甚です。

リン酸処理風粉体塗装『パウダースパングル』

 

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